端征く海蘊(モズク)

デジタル界隈の端を目指して日々漂流する海蘊の記録的なもの

メディア・アート原論

メディア・アート原論 あなたは、いったい何を探し求めているのか? (Next Creator Book)

メディア・アート原論 あなたは、いったい何を探し求めているのか? (Next Creator Book)

テクノロジーを駆使して作られたアート作品を全般的にメディア・アートと称するようになったが、そもそも絵画などの古典的なアートも、その大流の確率は常にメディアと共にある。

では、現代語られるメディア・アートとはなにを意味するのか?という疑問から、本書に手が伸び、メディア・アートの成り立ち、原論を再確認したく、読み進めた。

  1. メディア・アートの前身は、テクノロジー・アート、エレクトロニック・アート、インターメディア、インタラクティブ・アートといったものであり、メディア・アートはそれらを継承する大枠の分野

  2. メディアという名称について、日本においては混沌としており、なんでもメディア・アートと呼称できてしまうことは、それ以外との差別化・分類を図る上で、支障がある。

  3. メディア・アートとは何か(即ち原論)を再度明確化すると、メディア・アートはメディア自体を見つめ直すアートであること。絵画にとってのキャンバス、テレビにとっての表示デバイス、写真にとっての印画紙やカメラデバイスなど、科学技術の進歩と共に豊かになる表現を支える媒体自体を拡張したり、問うアート文脈。

  4. 一部メディア・アートと呼称されるもので、単純にさまざまな技術を取り入れて表現するもの(コンピュータや、テクノロジーに囚われないもの)をハイブリッド・アートと分類し、問題がメディアに向いているものと、そうで無いものを差別化することができる。

端的には、こういう流れと解釈し、本書では歴史的経緯や、キーパーソンとなったアーティスト、作品の紹介、大局の見方が取り上げられている。 それぞれの詳細については、別途掘り下げてみようと思う。